第141回 ヨーロッパ音楽都市巡り パリ その10 フランスオペラの歴史1 リュリ

第141回 ヨーロッパ音楽都市巡り パリ その10 フランスオペラの歴史1 リュリ

2023年02月14日(火)1:00 PM

 パリのオペラハウスを紹介して行きましたが、ここからフランスオペラについてです。パリは、中世以降、ヨーロッパ文化、芸術の中心都市としての栄えましたが、オペラの分野でも他の国や都市とは違い非常に興味深い発展を遂げていきましたので、簡単にご案内していきます。日本でオペラといえば、イタリア、ドイツというのが定番になっていますが、フランスオペラにも数多くの名作があります。

 

 17世紀初頭、オペラはイタリアのフィレンツェで生まれましたが、当時もフランスではバレ・ド・クールという形の宮廷バレエが流行っていました。そこに17世紀中旬、イタリアからオペラが入って来ましたが、パリの人達にはあまり受け入れられませんでした。

リュリの故郷フィレンツェ風景



 そこで登場するのがジャン=バティスト・リュリ(1632-1687)です。リュリはフィレンツェで生まれましたイタリア人でしたが、14歳の時に貴族にフランスへ連れて来られます。やがて太陽王ルイ14世(1638-1715)に気に入れられ、宮廷音楽家となり、やがてフランスに帰化してフランス人となります。

 

 当初はルイ14世のために数多くのバレ・ド・クールバレやコメディ=バレというジャンルのバレエ音楽作曲しましたが、やがて興味はオペラの方へ向かっていく。そして、イタリア語によるレチタティーヴォとアリアを分けるイタリア様式は、フランスには合わないと思い、フランス語によるレチタティーヴォとアリアを融合させた悲劇「カドミュスとエルミオーヌ」(1673)を作曲、この様式による神話や叙事詩的なオペラは、フランス・オペラの基礎を築いたのです。

ルイ14世



 また、リュリによるフランスの通奏低音による典型的なバロック音楽の様式は、バロック様式を作り上げ、後世のあらゆる作曲家に影響を与えました。テンポが速い軽く華やかな舞曲や合唱の重要視、フランス風の序曲、オーケストラへ新しい楽器の導入などもリュリの影響です。

 

 当時、指揮は長くて重い杖を床を叩いてリズムを取っていましたが、誤って足に打ちつけてしまい、腫瘍が壊疽を起こして死んでしまいました。

 

執筆:上月 光



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