第138回 ヨーロッパ音楽都市巡り パリ その7 市立劇場(Theatre de la ville)
パリの市立劇場は、パリのセーヌ川右岸でちょうど中心に位置するシャトレ広場にありますが、市立劇場とシャトレ座という2つの劇場が並んで建っています。

市立劇場外観
まずは東に建つのが市立劇場(de la bille)です。この劇場は、1847年にオペラ座、コミック劇場のライヴァルとしてタンプル大通りにリリック座が出来ました。しかし翌1848年にパリの革命の動乱が起きて、わずか1年で破壊されてしまいまったのです。1851年現在のシャトレ広場に作られたリリック座が今の市立劇場です。1899年にリリック座では、焼失してしまったコミック座の上演が行われていましたが、19世紀最高の女優と言われる伝説のサラ・ベルナール(1844-1923)が劇場を買って、劇場の名前もサラ・ベルナール劇場と変わりました。そして、今は市立劇場と呼ばれています。

市立劇場ホワイエ
サラ・ベルナール劇場時代の1927年、イーゴリ・ストラヴィンスキー(1882-1971)にオペラ=オラトリオの「オイディプス王」が初演されました。これは、バレエ・リュスのパリ公演の一環としてストラヴィンスキーの指揮によって演奏されたのですが、演奏会形式(オラトリオ形式)による初演だったので、正式な初演は1928年ウィーン国立歌劇場です。

市立劇場正面
何度か大修復工事が行われましたが、外観は当時の姿で、内装が近代的に改装されました。現在は、コンテンポラリーダンス(現代舞踊)を中心に、演劇、コンサートなどが行われています。
執筆:上月 光