第131回 ヨーロッパ音楽都市巡り モンテカルロ その2 モンテカルロ歌劇場
モンテカルロは、小さい街ですが、世界に誇るオペラハウスも持っています。建国の父であるシャルル3世(1818-1889)が1879年に建てた劇場です。

外観
座席数524席のこぶりの劇場ながら、パリの世界的オペラハウス、パリ・オペラ座(ガルニエ宮)の設計者シャルル・ガルニエ(1825-1898)設計による宮殿のように美しい建造で、モンテカルロの宝石とも呼ばれています。

天井画
モンテカルロ歌劇場は、カジノの玄関、ホワイエと共有という世界にも類をみないオペラハウスですが、比較的新しいながら、数多くの初演を行った輝かしい歴史を誇ります。

モナコ王室のためのロイヤルボックス
ラウル・ガンズブール(1859-1955)が支配人を務めた1893年から1951年までの58年間の間に実に13人の作曲家による23曲ものオペラ初演を行ったのです。主なものを列記しますと、1893年にベルリオーズ(1803-1869)の超大作「ファウストの劫罰」の舞台版(オペラの初演は1846年パリ・オペラ=コミック)、1903年にサン=サーンス(1835-1921)の「エレーヌ」、1913年のフォーレの「ペネロープ(1845-1924)、」1917年にプッチーニ(1858-1924)の「つばめ」、1925年にラヴェル(1875-1937)の「子供と魔法」などが挙げられます。そしてもっとも重要な作曲家が、ジュール・マスネ(1842-1912)で、1902年の「シェリュバン」、1910年の「ドン・キショット」など7作品を初演しました。

入口前に建つマスネ像
「シェリュバン」とはイタリア語でケルビーノのことで、かの有名なモーツァルト(1756-1791)の傑作オペラ「フィガロの結婚」のケルビーノが17歳になってからの後日談です。「ドン・キショット」は、セルバンテスの名作「ドン・キホーテ」のことです。

リハーサル風景
なお、オペラハウスに入るオーケストラは、モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団で、現在の音楽監督は、2016年から山田和樹(1979-)が務めています。
執筆:上月 光
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