第124回 ヨーロッパ音楽都市巡り プラハ その1
長いドイツの旅を終えて、今週から隣国チェコの首都、プラハに行きましょう。チェコは、ヨーロッパのほぼ中央に位置し、西はドイツ、北東はポーランド、南はオーストリア、そして、南東部は30年前まで同じ国だったスロヴァキアに接しています。

黄金の小径から百塔の町を望む
チェコといえば、皆さんは何を思いだすでしょうか?ボヘミアン・グラス、ビール、いろいろあると思いますが、偉大な音楽家も輩出しています。「モルダウ」で有名なスメタナ(1824-1884)、「新世界」等で有名なドヴォルザーク(1841-1904)、他にもたくさんいますので、ご紹介していきます。
簡単に歴史を振り返ると、4世紀~5世紀にゲルマン民族の大移動で空いた土地にスラブ人が住み着きましたが、10世紀になるとハンガリーから滅ぼされ、その後、ドイツ人の侵攻も続きます。中世には神聖ローマ帝国の国王となったカレル1世(カール4世)の時代に全盛期を迎えますが、当時はヨーロッパ有数の大都市で、黄金のプラハと呼ばれていました。その後、さらにハプルブルグ家によって長い支配を受けます。第2次世界大戦後はソ連の支配下となって、共産圏に組み入れられますが、ソ連の崩壊に伴い、もともとチェコ人とスロバキア人と民族が違う国だったため、1992年に2つの国に分かれたのです。

プラハ城
さて、チェコの首都プラハですが、ドイツ中西部のドレスデンからは150㎞ほどの近さに位置していますが、中世の街並みが色濃く残り、尖塔が多いことから百塔の町プラハとも呼ばれ、プラハの中心、歴史地区は世界遺産に登録され、観光の町としても栄えています。
市内の真ん中を流れるヴルタヴァ川は、ドイツを抜けてエルベ川と合流して北海に流れるチェコ最大の河川ですが、日本では、モルダウ川の名前で知られています。しかし、モルダウというのはドイツ語の名前ですので、現地ではヴルタヴァ川と言いましょう。

ヴルタヴァ川とカレル橋
執筆:上月 光