第107回 ヨーロッパ音楽都市巡り バッハ巡礼その1 アイゼナッハ1

第107回 ヨーロッパ音楽都市巡り バッハ巡礼その1 アイゼナッハ1

2022年06月07日(火)11:30 AM

 さてライプツィヒも長くなってしまいましたが、メンデルスゾーン、シューマンのあとはいよいよバッハです。バッハはライプツィヒのトーマス教会で後半生を過ごしましたが、ライプツィヒに定住するまでの前半生をドイツ中部の美しい町並みや古城とともに辿って行きましょう。

ヴァルトブルク城からアイゼナッハを望む



 ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685-1750)が生まれたアイゼナッハという街は、現在のドイツのほぼ中央部にあって、東のライプツィヒ、西のフランクフルトのほぼ中間地点に位置し、中世の頃より交通の要衝として栄えました。第2次世界大戦後は東ドイツに組み入れられましたが、現在はテューリンゲン州の西端にあります。

バッハの生家跡のバッハ博物館

 15世紀末には宗教改革のマルティン・ルター(1483-1546)は、学生の頃アイゼナッハでラテン語を学び、のちにヴァルトブルク城で活躍しました。

アイゼナッハにあるルターハウス



 ヴァルトブルク城は11世紀の中世の山の上にある古城で、世界遺産になっています。12世紀にこの城で吟遊詩人による歌合戦があったとされ、13世紀に「ヴァルトブルク城の歌合戦」の伝説としてまとめられました。この話をもとに書かれたのがワーグナー(1813-1883)の1845年にドレスデンで初演された「タンホイザー」です。現代では「タンホイザー」とだけ呼ばれることが多いこの有名なオペラの原題は、「タンホイザーとヴァルトブルクの歌合戦」なのです。

タンホイザーの舞台ヴァルトブルク城



 また、1521年、ヴォルムス帝国議会で教会から破門されたルターがザクセン選帝侯フリードリヒ3世に保護され、ヴァルトブルク城で新約聖書のドイツ語訳を翻訳しました。

 

ヴァルトブルク城

 

 

執筆:上月 光



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