第96回 ヨーロッパ音楽都市巡り 「ライプツィヒ」その3 ニコライ教会
トーマス教会の次は、ライプツィヒ最古の教会で、最大の大きさを誇るニコライ教会です。トーマス教会のカントール(音楽監督)がニコライ教会のカントールを兼務することが通例ですので、J.S.バッハ(1685-1750)もニコライ教会のカントールを務めました。

ニコライ教会正面
1165年設立で850年以上の歴史を誇り、当初のロマネスク様式を残しつつ、ゴシック様式、新古典主義様式の堂々たる教会です。大きいのに教会前の通りが狭いために、なかなか正面からの全景の写真が撮れません。

ニコライ教会の前の狭い道
内部の円柱の上方には植物の葉がモチーフに使われ、壮麗な天井もシンプルながら、とても美しい教会で、ドイツのプロテスタント教会としては非常に珍しい内部の造りです。

円柱と祭壇
また、ザクセン州一の規模を誇るパイプオルガンも5段の鍵盤と102のストップと6804本のパイプを持つ立派なものです。毎年6月にライプツィヒで行われるバッハ音楽祭でもトーマス教会と並び、メイン会場としてこのパイプオルガンも大活躍します。

パイプオルガン
そして、東西冷戦下のドイツにあって、1980年代に毎週月曜日にニコライ教会で行われていた平和の祈りは、旧東ドイツの民主化運動のきっかけとなりました。1989年10月9日、ついに7万人のデモとなり、それは旧東ドイツ各地へと拡がっていったのです。それからちょうど1か月後の1989年11月9日、ベルリンの壁崩壊へと繋がっていきました。平和の祈りは、今でも毎週月曜日のミサで行われています。

壮麗なパイプ
執筆:上月 光