第95回 ヨーロッパ音楽都市巡り 「ライプツィヒ」その2 トーマス教会
音楽都市ライプツィヒの名所を1つずつご紹介していきますが、まずは、ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685-1750)が約30年に渡ってカントール(音楽監督)を務めたトーマス教会から。

トーマス教会
トーマス教会は、1160年に建てられ、時代ごとに改築と拡張が行われ、ロマネスク様式の身廊やゴシック様式の祭壇を持っています。当初はアウグスチノ修道会の教会でしたが、マルティン・ルター(1483-1546)の時代にルター派に所属する教会となり、宗教改革の重要な教会の1つとなりました。もちろん、プロテスタントの教会です。ルター派は、日本ではルーテル派と言われています。

トーマス教会
トーマス教会のカントールは、トーマスカントール(Thomaskantor)と呼ばれ、世界中の音楽家から尊敬を集める特別な存在です。バッハの代表的な傑作マタイ受難曲やヨハネ受難曲を始め、膨大な作品がこのライプツィヒで生まれ、トーマス教会で初演されました。そしてバッハは今もトーマス教会で眠っています。

正面祭壇
ステンドグラスにはバッハが描かれています。

バッハのステンドグラス
また、2つの有名なパイプオルガンもあります。残念ながらバッハの時代のオルガンではありませんが、1つはメインの1889年に作られ、1908年に拡張された素晴らしいオルガンです。

メインのパイプオルガン
もう1つはバッハの没後250周年を記念して2000年に作られたバッハオルガンと呼ばれる美しいオルガンです。

新しいバッハオルガン
また、トーマス教会の向いにあるバッハ博物館も必見です。

バッハ博物館
また、800年以上前の1212年に設立されたトーマス教会少年合唱団は、現在でもウィーン少年合唱団やシスティーナ礼拝堂合唱団などと並んで世界的に有名な少年合唱団として活躍しています。彼らはソプラノ、アルト、テノール、バスの4パートに分かれ、変声期を迎えたたら辞めなければいけません。現在のメンバーは約100名ほどです。また、ここの指導もトーマスカントールの大切な仕事です。

少年合唱団演奏会のポスター
執筆:上月 光