第90回 ヨーロッパ音楽都市巡り 「ドレスデン」その3 ゼンパー・オパー

第90回 ヨーロッパ音楽都市巡り 「ドレスデン」その3 ゼンパー・オパー

2022年01月25日(火)11:00 AM

 ザクセン王国、アウグスト2世の時代、1838年から1841年にかけて王立歌劇場として作られました。正式名称はザクセン州立歌劇場(Sächsische Staatsaoper Dresden)ですが、現在では、劇場のHPもゼンパー・オパー(Semper Oper)で統一しているようです。

ゼンパー・オパー外観正面



 ゼンパーという名前は、この劇場を設計した地元出身の建築家のゴットフリート・ゼンパー(1803-1879)の名前から採られたものです。1869年焼失していまいますが、再びゼンパーが設計し、その後息子が引き継いで1878年に再開場しました。ゴットフリート・ゼンパーは、1871年にハプスブルク家のフランツ・ヨーゼフ1世にウィーンに招聘され、かの有名な美術史美術館などを設計しました。

ゼンパー銅像



 ゼンパー・オパーは、前項でも触れましたドレスデン爆撃で全壊しましたが、東ドイツが国の威信を賭けて復興を図り、1985年に完成致しました。

ウィーンの美術史美術館



 1,323席の中規模劇場ながら、初期イタリア・ルネッサンス様式の壮麗で美しい馬蹄形の劇場で、5分刻みのデジタル時計も有名です。

ゼンパー・オパーホワイエの天井画  

 
 冷戦時代は東ドイツを代表するオペラハウスとして、マタチッチ、スウィトナー、プロムシュタットら巨匠たちが音楽監督を務め、東西統一後も、ジュゼッペ・シノーポリ(1946-2001)、ベルナルト・ハイティンク(1929-2021)、ファビオ・ルイージ(1959-)ときて、2012年からは若き巨匠と言われるクリスティアン・ティーレマン(1959-)が務めています。

ゼンパー・オパー舞台



 オケピットに入る専属オーケストラは、ドレスデン・シュターツカペレ(Sächsische Staatskapelle Dresden)です。このオーケストラは、ザクセン選帝侯が1548年に作った宮廷楽団で、500年近い歴史を誇ります。現在は、首席指揮者がティーレマン、首席客演指揮者がチョン・ミョン・フン(1953-)、名誉指揮者がヘルベルト・プロムシュタット(1927-)となっており、オペラ、バレエのピットに入るだけでなく、シンフォニー・オーケストラとしても大活躍しています。ウィーン・フィルとウィーン国立歌劇場のような関係でしょうか。

ゼンパー・オパー夜景



 ゼンパー・オパーとシュターツカペレの歴史を語る時に3人のドイツの偉大な作曲家の存在をご案内しない訳にはまいりません。カール・マリア・フォン・ウェーバー(1786-1826)、リヒャルト・ワーグナー(1813-1883)、リヒャルト・シュトラウス(1864-1949)ですが、ドイツ・オペラの歴史そのものの3人です。

 次回以降で紹介してまいります。

 

執筆:上月 光



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