第87回 ヨーロッパ音楽都市巡り 「ミュンヘン」番外編 ノイシュヴァンシュタイン城

第87回 ヨーロッパ音楽都市巡り 「ミュンヘン」番外編 ノイシュヴァンシュタイン城

2022年01月04日(火)11:00 AM

 ミュンヘン市内から南西に110㎞ほどのところに世界一有名な中世の古城、ノイシュヴァンシュタイン城(Schloss Neuschwanstein)があります。ドイツの観光で欠かすことの出来ないロマンティック街道の南の終点地にあります。ドイツ語で直訳すると新しい白鳥の岩という意味ですが、アメリカのアナハイムに1955年に開園した初代ディズニーランドの眠れる森の美女の城はノイシュヴァンシュタイン城をモデルとしています。

マリエン橋からのノイシュヴァンシュタイン城全景


ミュンヘンの歴史でも触れましたが、バイエルン王のルードヴィヒ2世(1845-1886)が、リヒャルト・ワーグナー(1813-1883)の楽劇に出てくる中世の城をモチーフとして建てたのがノイシュヴァンシュタイン城です。軍事的、政治的な目的は一切なく、単にルードヴィヒ2世の中世騎士道への憧れだけで建てられた宮殿なのです。

後ろはホーエンシュヴァンガウの田園風景


 ルードヴィヒ2世は皇太子時代の15歳の時に見たワーグナーのオペラ「ローエングリン」が忘れられず、ワーグナー最大のパトロンとなりました。ノイシュヴァンシュタイン城の築城にあたっての設計は、何と建築家ではなく、舞台の背景画家だったクリスチャン・ヤング(1833-1888)でしたが、ヤングは「ローエングリン」の舞台の背景画を書いたその人だったのです。そして、ヤングのスケッチの城を基にノイシュヴァンシュタイン城が造られ、1886年に住める程度に完成しました。

大きすぎる上に山に囲まれているので下からの風景はこのような感じ


 「ローエングリン」だけでなく、「ニーベルングの指環」、「トリスタンとイゾルデ」、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」、「タンホイザー」、「パルジファル」等、さまざまなワーグナーの作品がモチーフとなっている部屋や洞窟があります。ワグネリアンと言われるワーグナー信奉者にとっては、決して見逃せない城となっています。

 

執筆:上月 光



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