第81回 ヨーロッパ音楽都市巡り ヘンデル巡礼その4 ヘンデルの生涯

第81回 ヨーロッパ音楽都市巡り ヘンデル巡礼その4 ヘンデルの生涯

2021年11月23日(火)11:00 AM


ヘンデルはロンドンで、「セルセ」等のイタリア・オペラの失敗によって、オペラの作曲をキッパリと止め、1939年に英語によるオラトリオを書き始めたところまでご案内しました。

ダブリンのシンボル、パトリック大聖堂


 ここでヘンデルに大きな転機が訪れます。1741年アイルランド総督から依頼を受け、チャールズ・ジェネンズのイングランド国教会の祈禱書の英語の台本を元にオラトリオを書いたのです。それがのちにヘンデルの代表作となった「メサイア」です。この演奏時間が2時間半にも及び大作をヘンデルは、わずか24日に書きあげました。

 そして1742年4月13日、ダブリンのフィッシャンブル通りの音楽堂(残念ながら現存しません)で慈善公演として初演され、熱狂的な大成功を収めたのです。

フィッシャンブル通りに面したクライストチャーチ大聖堂



 その後「メサイア」は、最初ロンドンではあまり受け入れられませんでしたが、ヘンデルによって何度も改訂されましたが、1750年代になってから、次第に人気を博すようになり、やがて世界中へ広まっていきました。

 前回、オラトリオは宗教的なものが多いと言いましたが、ヘンデルに限っては例外で、「メサイア」は、ヘンデルの約20曲のオラトリオの中で、唯一の宗教的なオラトリオなのです。

 「メサイア」(Messaich)とは、救世主のメシア(イエス・キリスト)の英語です。聖書のいろいろな部分から歌詞を取って、キリストの生涯を描いています。オーケストラの編成はダブリンの初演時は弦合奏とトランペットのソロという小さなものでしたが、その後、オーボエとファゴット、ティンパニとオルガンが入ったものがヘンデルによって書かれ、現在はその編成で演奏されることが普通です。そこにソプラノ、アルト、テノール、バスという4声のソリスト、さらには同じ声部の編成による合唱が入りますが、合唱団の歌う曲が多いの、もこのオラトリオの特徴です。

 この曲は3部構成になっていますが、2部フィナーレの合唱曲「ハレルヤ」は、特に有名になって、「ハレルヤ・コーラス」と呼ばれて、世界中の演奏会場、教会等々で演奏される名曲です。日本人でも大人であれば、この曲を知らない人はまずいないことでしょう。

 

https://www.youtube.com/watch?v=IUZEtVbJT5c

 

執筆:上月 光

 

 



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