第77回 ヨーロッパ音楽都市巡り ベルリン8(コンツェルトハウス)
いよいよベルリン編の最終回、コンツェルトハウスです。今からちょうど200年前にオペラハウスとして建てられたシャウシュピールハウスがその前身ですが、美しく壮麗な造りで音響も素晴らしいホールとして知られています。

コンツェルトハウスの正面
1821年の始めに建てられたシャウシュピールハウスですが、同年6月18日にカール・マリア・フィン・ウェーバー(1786-1826)の「魔弾の射手」の初演という栄光に包まれています。当時、オペラはドイツ国内でも、イタリア語あるいはフランス語のものでしたが、本格的なドイツ語のオペラに人生を捧げたウェーバーは、ドイツ・ロマン派の金字塔となるこの傑作を作曲しました。後世のあらゆる作曲家に影響を与え、音楽とドラマが一体化したこのオペラを観て、ワーグナー(1813-1883)もベルリオーズ(1803-1869)も、作曲家になる決心をしたと言われています。コロナさえなければベルリンでは、200年のアニヴァーサリーで盛り上がったはずです。

客席からステージ
第2次世界大戦後、旧東ベルリンに組み入れられますが、ジャンダルメンマルクトというベルリンでもっとも美しい広場に面していますが、フランス大聖堂どドイツ大聖堂という有名な大聖堂にも囲まれて、この広場は、クリスマスマーケットとしても有名です。シャウシュピールハウスは、戦争で完全に破壊されましたが、忠実に建て直され、東西ベルリン統一後、現在のコンツェルトハウスと名前を変えました。立派なパイプオルガンを持っていることでも有名です。

パイプオルガン
また、旧東のベルリン交響楽団はこの劇場を本拠地としていました。東西統一前からベルリン交響楽団という東西2つのオーケストラがあって紛らわしかったのですが、こちらのジャンダルメン広場のベルリン交響楽団の方は、2006年からベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団と名前を変えました。インバル、ツァグローセクらの後、2019年からはクリストフ・エッシェンバッハ(1940-)が首席指揮者を務めています。

リハーサル風景
先週までご案内したフィルハーモニーの造りと違い、コンツェルトハウスはシューボックス型で音響も素晴らしいホールです。ウィーンフィルがベルリン公演を行う時は、フィルハーモニーではなく、楽友協会(ムジークフェライン)と同じシューボックス型のコンツェルトハウスで行うのが常となっています。
執筆:上月光