第76回ヨーロッパ音楽都市巡り ベルリン7 フィルハーモニー

カーテンコール
今週は、先週ご紹介したベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地、フィルハーモニーです。

フィルハーモニー正面入口
1882年のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の創立当初、フィルハーモニーは、ローラースケート場を改造して作られましたが、ヨーロッパでは一般的なシューボックス型のホールでした。ウィーンフィルの楽友協会の時にもご説明しましたが、シューボックス型とは、長方形の靴箱のような形で、音響的には最高と言われています。しかし、客席数があまり増やせず、視覚の死角(洒落ではありません)のある席が出来やすいのも難点です。現在の東京では、渋谷のオーチャードホールが代表的なシューボックス型でしょうか。そして、フィルハーモニーは、1944年のベルリン空襲で崩壊してしまいました。

ステージ
戦後、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団は西ドイツの方に組み入れられましたが、1963年、ベルリンの中心地ティアガルテンの近くに新しいフィルハーモニーが建てられました。当時ベルリンフィルの指揮者だったヘルベルト・フォン・カラヤン(1908-1989)の意見が色濃く反映されています。

客席
建築家ハンス・シャロウンは、シューボックス型とは対照的なアレーナ型によるホールを造りました。アレーナ型とは真ん中にステージがあって、それを客席が取り囲むように作られたホールのことです。フィルハーモニーは、アレーナ型の中でも五角形のヴィンヤード型で創られました。ヴィンヤードとは名前の通り、ブドウ畑のことですが、のこぎりの歯のような傾斜によってステージを取り囲む客席の形からそう言われています。視覚的にはどの席からも良く見え、客席も大幅に増やすことができますが、音響的には問題があるとも言われています。大ホールは、2,440席となっています。東京のサントリーホールもベルリンのフィルハーモニーをモデルにして作られました。規模はもっと大きいですが、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールもヴィンヤード型です。

5角形のステージ

カーテンコール
2008年改修工事中の屋根から出火して、しばらく燃え続けましたが、大きな被害はなく、
1996年のヴェネツィアのフェニーチェのように全焼せずに良かったです。

楽屋口
またホールの隣に世界有数の楽器博物館を持っていて、こちらも必見です。

右が楽器博物館
上月光