第75回ヨーロッパ音楽都市巡り ベルリン6 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

第75回ヨーロッパ音楽都市巡り ベルリン6 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

2021年10月12日(火)11:00 AM

 先週までベルリンの3つのオペラハウスをご案内しましたが、もちろん素晴らしいオーケストラもあります。7つの常設オーケストラがありますが、特に有名なのが世界に冠たるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団です。

フィルハーモニー外観

 

 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を知らない方はおそらくいらっしゃらないと思いますが、ウィーン・フィルと並んで、世界でもっとも人気のあるオーケストラといえるでしょう。1882年に設立され、最初の定期演奏会は、ソルフェージュの教則本として有名なコールユーブンゲンの著者で知られるフランツ・ヴェルナー(1832-1902)の指揮で行われました。さらに1884年には、ヨハネス・ブラームス(1833-1897)が、作ったばかりの交響曲第3番を指揮し、25年前に作ったピアノ協奏曲第1番を弾きました。ハンス・フォン・ビューロー(1830-1894)、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886-1954)ら巨匠たちが常任指揮者を務めて、世界レヴェルのオーケストラに育て上げました。戦後は、セルジュ・チェリビダッケ(1912-1996)、さらには晩年のフルトヴェングラーが再び終身指揮者として帰ってきました。

 

 そして、ベルリン・フィルを不動の世界のトップ・オーケストラにしたのが、帝王ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908-1989)です。カラヤンは1955年4月から逝去する直前の1989年4月まで実に34年間に渡って終身指揮者兼芸術監督を務めました。カラヤンは、楽団員の国際化を進め、膨大な数のレコーディングを行うなど数々の功績を残しました。1967年には自身の故郷ザルツブルクで、ウィーン・フィルの夏の音楽祭に対抗して、復活祭の時期にイースター音楽祭を創設、ベルリン・フィルがオケピットに入る貴重な機会となりました。

 

 カラヤンの後任は、楽団員の投票で決める形になり、ロリン・マゼル(1930-2014)が確実視されていた中、クラウディオ・アッバード(1933-2014)が1990年から9代目の常任指揮者に選ばれ、2002年からはサイモン・ラトル(1955-)、さらに2019年からはキリル・ペトレンコ(1972-)が首席指揮者・芸術監督を務めています。

 

 また、毎年シーズンのフィナーレを飾るヴァルトビューネという野外コンサートも有名です。オリンピアパークの森の中に作られたヴァルトビューネという古代ギリシアの円形劇場で、毎年6月の最終日曜日に行われます。毎年12月31日の大晦日に行われるジルヴェスター・コンサートも世界中に同時中継され、翌日のウィーンフィルのニューイヤーコンサートと並んで年末年始の恒例行事となっています。

シーズンフィナーレを飾るヴァルトビューネ

 

 今まで数多くの日本人のメンバーも在籍しました。まずヴィオラ奏者の土屋邦雄(1933-)、そして長く第1コンサートマスターも務めた安永徹(1951-)です。現在は、町田琴和、伊藤マレーネ、清水直子が在籍し、さらに樫本大進(1979-)が31歳の若さで2010年から第1コンサートマスターを務めています。

 

上月 光



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