第73回ヨーロッパ音楽都市巡り ベルリン4(ベルリン・ドイチェ・オパー)

第73回ヨーロッパ音楽都市巡り ベルリン4(ベルリン・ドイチェ・オパー)

2021年09月28日(火)11:30 AM

 先週の国立歌劇場(リンデン・オパー)は宮廷劇場として上演されてきましたが、1919年に民衆のためのオペラ劇場としてシャルロッテンブルクに作られたのが、このベルリン・ドイチェ・オパーです。英語風にいうとドイツ・オペラでそう呼ばれることも多いようですが、ここではドイチェ・オパーと呼ばせて頂きます。私の趣味の問題です。

 

ドイチェ・オパー夜景

 

 名前を何度か変え、戦争で破壊され、場所も変わりましたが、リンデン・オパーとコーミッシェ・オパーが東ドイツ側となったのに対し、唯一の西ドイツ側のオペラハウスとなりました。今の劇場は、1961年5月24日にドイチェ・オパーと名前を換え、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」でこけら落としされました。

 

ドイチェ・オパーカーテンコール 「トスカ」真ん中はカヴァラドッシ役のパヴァロッティ

 

 歴史が新しいので、初演された作品は、現代オペラに限られますが、ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ(1926-2012)の「若き貴族」(1965年)や「裏切られた海」(1990)などが挙げられます。「裏切られた海」は、三島由紀夫の「午後の曳航」が原作の作品です。

 

 音楽監督は、戦前のブルーノ・ワルター(1876-1962)を始め、ロリン・マゼル(1930-2014)、ジュゼッペ・シノーポリ(1946-2001)、クリスティアン・ティーレマン(1959-)ら巨匠の指揮者が務め、2009年からはスコットランド人のドナルド・ラニクルズ(1954-)が長期政権に入っています。

 

 ドイチェ・オパーと言えば、日本との結びつきも深く、東京日比谷の日生劇場は1963年10月20日に、ドイチェ・オパーを招聘して「フィデリオ」で開場致しました。この来日公演が、欧米のオペラハウスの初めての来日公演と言われています。その時にワーグナー(1813-1883)の「トリスタンとイゾルデ」も日本初演されました。さらに1987年には、日本初のワーグナーの「ニーベルングの指環」の全曲連続上演が行われました。

 

執筆:上月光



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