第68回 ヨーロッパ音楽都市巡り イタリア番外編11 「シチリア島その2」
タオルミーナからさらに東の海岸線を南下し、カターニアを過ぎてさらに約50㎞行くと美しい街、シラクーザがあります。
<シラクーザ>
シラクーザ(Siracusa)は、紀元前8世紀にはギリシア人によって栄えた町ですが、シラクーザ出身で最も有名なのは、古代ギリシアの数学者アルキメデス(紀元前287-212年)で、彼はシラクーザのギリシア人として、ローマ帝国と戦いました。太宰治の走れメロスもシラクーザが舞台です。シラクーザは、17世紀末の地震で壊滅的な被害を受け、今の街並みはその時の修復によるバロック建築で成り立っていて、大聖堂広場の街並みは非常に美しいものです。ギリシア劇場のすぐ横にある天国の石切り場にある大きな耳の形をした洞窟は、ディオニシオスの耳と呼ばれますが、カラヴァッジョが命名したものです。ここの洞窟の中は非常に良く響き、歌を歌うととても上手に聞こえます。

シラクーザ大聖堂広場の街並み

天国の石切り場のディオニシオスの耳

洞窟の中
シラクーザから西に50㎞入ったところにあるパンタリカ古墳は、「シラクーサとパンタリカ岸壁墓地遺跡」として世界遺産に登録されています。パンタリカの遺跡は、紀元前10世紀前後に岩肌に作られた古墳です。

パンタリカの古墳
また、アメリカのNYにある大学の街としても知られるシラキュース(Syracuse)は、イタリアのシラクーザの英語版です。
<ノート>
シラクーザから南西の内陸に入ったところにノート(Noto)という街があります。ここは、前述した17世紀末の大地震で街が壊滅し、そこから10㎞離れた地盤の固い土地の上にバロック様式の街を再建したのです。またノートは毎年5月に行われる花祭りでも有名です。このノートを始め、ラグーザ(Ragusa)等、全部で8つの街は、「ヴァル・ディ・ノートの後期バロック様式の町々」として世界遺産に指定されています。バロック様式の美しい町並みは、美術館のようなたたずまいを見せています。

ノートの大聖堂

ラグーザの街並み
執筆:上月光
« 第67回 ヨーロッパ音楽都市巡り イタリア番外編10「シチリア島その1」 | 合唱練習会時間変更のお知らせ:モツレクin第一生命ホール合唱団 »