第61回 ヨーロッパ音楽都市巡り イタリア番外編4「ピサ」

第61回 ヨーロッパ音楽都市巡り イタリア番外編4「ピサ」

2021年07月05日(月)9:30 AM

 世界中の人が知るピサの斜塔で有名なピサ。ピサ大聖堂の鐘楼として建てられましたが、現在でも3.99度傾いたままです。そしてピサ大聖堂の廻りの広場は世界遺産となっています。

 

大聖堂と斜塔 大聖堂が横に鎮座しているために傾斜が際立って見えます。

 

 先週のチンクエテッレの表玄関ラ・スペーツィアから地中海の海岸沿いに南東に90㎞行ったところにピサがあります。ピサは、古代ローマ帝国より前の紀元前から海運立国として栄えた古都です。

 

 11世紀からジェノヴァ共和国、ヴェネツィア共和国と戦うだけでなく、地中海の島々、北アフリカや東ローマ帝国まで勢力を広げました。しかし13世紀末にジェノヴァ共和国に大敗を喫し、その後は衰退して行き、中世以降はトスカーナ王国の港町となりました。

 

しかし、1343年創設のピサ大学はイタリア最古の名門大学の1つとして、多くのすぐれた卒業生を輩出しました。中でも有名なのは、地元ピサ出身の科学者ガリレオ・ガリレイ(1564-1642)で、さまざまな功績から「近代科学の父」と呼ばれています。特に有名なものは、地動説で、カトリック教会からの異端裁判で有罪とされた時に、「それでも地球は動いている」と言ったとされています。他にも、有名な振り子の等時性もピサの大聖堂のシャンデリアを見て発見したと言われ、落体の法則(落下のスピードに重量は関係ない)は、ピサの斜塔から大小の球を同時に落として証明したと言われています。

 

 世界遺産の大聖堂広場は、大聖堂、洗礼堂、墓所、斜塔からなります。ピサの斜塔は1990年から2001年まで傾斜の進みを抑えるために工事をしていましたが、今は公開されていて、螺旋階段を登って上まで行くことができます。

 

大聖堂ファザード

大聖堂の青銅の門

洗礼堂

もう1つ大聖堂と斜塔

 

 音楽の話では、プッチーニの稿で触れましたが、プッチーニが18歳の時、ルッカからピサまで歩いてヴェルディの新作オペラ「アイーダ」を見て感動して、オペラ作曲家になる決心しました。

 

 最後にピサの街はPisaと書きますが、イタリア人は”s”を少し濁ってピザと発音します。一方、あの有名な円盤状の食べ物は、Pizzaと書いて、ピッツァと発音します。ほとんどの日本人はこのアメリカから輸入されてきた食べものを、ピザと言いますが、イタリアで本場のものを食べる場合、ピッツァと発音しないと通じません。ちなみにピッツァは石窯で焼きますが、ピザはオーブンで焼くので、そもそもの作り方が違うのです。日本でも本格的なイタリアンレストランやピッツェリアで石窯で焼かれたものを食べる時は、ぜひピッツァと発音しましょう!

 

執筆:上月光



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