第59回 ヨーロッパ音楽都市巡り イタリア番外編「ラクイラ」 

第59回 ヨーロッパ音楽都市巡り イタリア番外編「ラクイラ」 

2021年06月21日(月)9:30 AM

 ローマから100㎞北東に上がるとイタリア中部のアブルッツォ州の州都ラクイラに出ます。ラクイラは中央アペニン山脈の盆地に位置し、標高714mでイタリアで最も高い州都です。周りにはスキー場があって、冬もリゾート地として賑わっています。

 

町並みと後ろが中央アペニン山脈

 

 ラクイラは山に囲まれた美しく平和なリゾート地ですが、2009年4月に大地震に襲われ、町は壊滅的な大打撃を受けてしまいました。300名を超える死者と同時に中心地はガレキの山となりました。この時の地震のエネルギーは阪神淡路大震災の1/8程度と言われていますが、震源地が浅い直下型地震だったため、被害は拡大しました。また、日本のように耐震構造の規制とはほど遠い、築500年などという中世の街並みが当たり前に残っているイタリアの田舎町だったことも大きいと思います。また、2016年8月にもペルージャ県を中心とするイタリア中部地震で298名が死亡しました。

 

 アクイラ(Aquila)はイーグル(鷲)という意味ですが、15世紀にはナポリ王国の街としてかなり反映していました。当時のスペイン要塞(フォルテ・スパニョーロ)、ロマネスク様式のコッレマッジョ大聖堂、ルネッサンス様式のサン・ベルナルディーノ聖堂、99の噴水などが見どころになります。

 

スペイン要塞

これもスペイン要塞 後ろに中央アペニン山脈

サン・ベルナルディーノ聖堂

ドゥオーモ広場の露店

 

 オペラハウスはテアトロ・コムナーレで、小ぶりながら馬蹄形の美しい劇場でした。私は2006年にここでモーツァルトのレクイエムを歌ったことがあります。

 

テアトロ・コムナーレ

 

なお、ここに掲載している写真はすべてこの時に撮ったものなので、地震前のものとなっています。街中は復旧半ばでまだ地震の跡が残っているそうです。1日も早くあの美しい町並みが戻ってくることを祈っています。

 

執筆:上月光



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