第51回「カリアリ」 「サルデーニャ島の首都 様々な時代の歴史や遺跡が残る街」

第51回「カリアリ」 「サルデーニャ島の首都 様々な時代の歴史や遺跡が残る街」

2021年04月19日(月)9:30 AM

第51回 ヨーロッパ音楽都市巡り 「カリアリ」
「サルデーニャ島の首都 様々な時代の歴史や遺跡が残る街」

 

 地中海の中でシチリア島に次いで、2番目に大きな島、サルデーニャ島の最南端の港町カリアリは、サルデーニャ州の表玄関で州都です。12世紀にこの町を支配したピサ軍によって建てられた丘の上の要塞跡には城壁や教会が今もそのまま残り、丘のふもとに広がる海岸に面するマリーナ地区には近代的建築が建ち並び、海辺の地中海熱帯植物との対比で、ハワイのワイキキビーチのような趣も見られる不思議な雰囲気のする街です。

 

このようなヤシの木が街中に

マリーナ地区のビーチ

このようにパラソルの下でビーチリゾートを

黒いパラソルの地区もあります

 

 カステッロ地区といわれる旧市街は、丘の上にあり、素晴らしい眺望が見られます。街のシンボル大聖堂は、ロマネスクやネオロマネスク、バロック等、建設時の時代によって多様な様式を持っています。また、大聖堂以外にも数多くの教会が現存し、点在しています。

 

丘の上のカステッロ地区

ドゥオーモのハザード

ドゥオーモ入口

 

 私も1度だけ遭遇したことがありますが、毎年5月1日には聖エフィジオ祭というカリアリの守護聖人の大きなお祭りが行われます。各地方からそれぞれの山車が出て、美しい民族衣装に身を包んだ人たちのパレードは圧巻です。

 

さて、オペラハウスですが、2つあったオペラハウスは2つとも第2次世界大戦で破壊されてしまいました。30年かけてようやく1993年にオープンしたのがテアトロ・リリコで、日本の近代的な劇場と良く似た造りになっています。

 

テアトロリリコ

 

座席は赤を基調として、壁は金色、プラテア(平土間)の上に、2層のロッジア(椅子席)が広がっています。私がオペラを見た2000年の4月30日は、女性の観客のほとんどが黒一色の服装で、若い女性も年配の女性もシンプルでシックに着こなし、彫の深い容姿と相まって、とても美しく洗練されていました。

 

幕間の休憩中、オーケピットや合唱のメンバーたちが、バールまで出てきて、観客と一緒に歓談したり携帯電話で話したりしている風景は、とてもアットホームで微笑ましく感じられました。 しかし、予定の開演時間を過ぎても一向にオペラが始まらず、客席のいたるところで紳士淑女たちが立ちながら優雅にお喋りをしていて、まるで社交場のようでした。各幕間での休憩時間も延びに延びて、21:00からの公演が終わったのは、すっかり翌日になってしまいました。ナポリのサン・カルロ劇場もそうですが、やはり南イタリアの劇場はおおらかです。

 

執筆:上月光



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