第50回「モデナ」 美食の街、フェラーリの街、そしてパヴァロッティとフレーニの街
第50回 ヨーロッパ音楽都市巡り 「モデナ」
美食の街、フェラーリの街、そしてパヴァロッティとフレーニの街
エミリア=ロマーニャ州のモデナは、ミラノとフィレンツェの中間に位置します。近隣のパルマやボローニャと同様、美食の街として知られ、特にバルサミコ酢が有名です。
町のシンボル、ドゥオーモは、世界遺産に登録されています。正面の2頭のライオン像は、古代ローマ時代の貴重なものです。エステ家の居城だったドゥカーレ宮殿、グランデ広場にある市庁舎なども必見です。

世界遺産のドゥオーモ

グランデ広場とドゥカーレ宮殿

市庁舎
そして、イタリア・モータースポーツの父で、F1でも有名なスポーツカー、フェラーリの創設者、エンツォ・フェラーリ(1898-1988)が生まれた町です。モデナは今もフェラーリの本拠地で、2012年には博物館が作られました。
音楽の世界では、イタリアを代表する偉大な2人のオペラ歌手が生まれた町として知られています。まず、テノールのルチアーノ・パヴァロッティ(1935-2007)。20世紀に世界中で最も愛されたテノールで、キング・オブ・ハイCと呼ばれたその輝かしく美しい高音で一世を風靡しました。ドミンゴ、カレーラスと一緒に3大テノールの1人として、またパヴァロッティ&フレンズでは別ジャンルのスーパースターたちと一緒に世界中でコンサートを行いました。

パヴァロッティのお墓

パヴァロッティ家の墓の中で1番下にいるルチアーノ
もう1人はソプラノのミレッラ・フレーニ(1935-2020)。正統派のベルカント・ソプラノで、類まれな美声と卓越した演技力で20世紀最高のイタリア・オペラのソプラノ歌手として活躍しました。特にヴェルディ、プッチーニの諸役は他の追従を許さないほどでした。
この偉大な2人の歌手が、同年に同じモデナで生まれ、しかも2人の母親が同じタバコ工場で働いていたため、同じ乳母の母乳で育ったという奇跡のような話が残っています。実際に彼らは世界中の舞台で共演もし、特に有名なものは、パヴァロッティが詩人ロドルフォ、フレーニがお針子ミミという、プッチーニの代表作「ラ・ボエーム」で、2人ともこの役を十八番としていました。
執筆:上月光
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