第48回「クレモナ」 ヴァイオリンの街
第48回 ヨーロッパ音楽都市巡り 「クレモナ」
ヴァイオリンの街
ストラディヴァリウスら数々のヴァイオリンの名器を生みだした街クレモナ。現在も数多くのヴァイオリン工房が軒を並べています。モンテヴェルディ、ポンキエッリの2人のオペラ作曲家の故郷でもあります。
クレモナはポー川流域にあるため紀元前から栄えた街で、ロンバルディ州の南端、エミリア=ロマーニャ州との州境にあります。街のシンボル大聖堂は1170年に完成し、ファザードと洗礼堂はロマネスク様式の傑作と言われています。

クレモナのシンボル大聖堂
現在は、ヴァイオリンを始めとする弦楽器の街として全世界に知られています。特に有名なのは、まず、アントニオ・ストラディヴァリ(1644?~1737)と子どもたちが17~18世紀に作成した楽器、ストラディヴァリウスです。略してストラドとも呼ばれます。特にヴァイオリンはゆうに1億円を超える高値で取引されています。素晴らしい音色の秘密はいろいろと言われていますが、いまだに解明されていません。

アントニオ・ストラディヴァリ1715年制「クレモネーゼ」
他にも有名な楽器と職人は枚挙にいとまがありません。アントニオ・ストラディヴァリが学んだ工房の師匠がニコロ・アマティ(1596-1684)。また、アマティの工房には、ストラディヴァリの兄弟子のアンドレア・グァルネリ(1626?-1698)もいました。特にアンドレア・グァルネリの孫のバルトロメ・ジュゼッペ・アントニオ・グァルネリ(1698-1744)は、デル・ジェズと呼ばれ、現存する楽器が少ないこともあって、ストラドよりも高値で取引されることも多い名器です。天才ヴァイオリニスト、ニコロ・パガニーニ(1782-1840)も生涯デル・ジェズを使っていました。

グァルネリ・デル・ジェズ1734年制 「スタウッファー」

ヴァイオリン博物館
ヴェネツィア楽派でも触れましたが、ルネッサンス音楽からバロック音楽への架け橋の役目を果たしたアントニオ・モンテヴェルディ(1567-1643)はクレモナの出身で、クレモナ大聖堂の楽長を務めていたマルカントニオ・インジェニェーリ(1547-1592)の薫陶を受けました。モンテヴェルディはその後マントヴァ、ヴェネツィアで活躍しました。
オペラ「ラ・ジョコンダ」で知られるアミルカレ・ポンキエッリ(1834-1886)もクレモナ近郊の生まれで、クレモナやミラノで活躍しました。現在クレモナのオペラハウスの名前は、ポンキエッリ劇場です。
執筆:上月光
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