第31回ヴェローナ その4 「ロミオとジュリエット後編 管弦楽曲,ミュージカル,映画」
第31回 ヨーロッパ音楽都市巡り
ヴェローナ その4
「ロミオとジュリエット後編 管弦楽曲、ミュージカル、映画」

ローマ劇場より市内を
さて、今週は「ロメジュリ」後編です。オペラ、バレエ以外にもこのシェークスピアの戯曲からインスピレーションを得て、多くの作曲家が音楽を作りました。管弦楽曲でも素晴らしい作品があります。
まず、ロマン派音楽の先駆者でフランス人作曲家のエクトル・ベルリオーズ(1803-1869)の交響曲「ロメオとジュリエット」(1839年初演)です。自らが「合唱、独唱、および合唱によるレチタティーヴォのプロローグ付き劇的交響曲」と言うほどの大曲で、大編成が必要なため演奏機会にはなかなか恵まれませんが、名曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=6JADiAECnRQ
これはガーディナー指揮による、PROMS2016の模様です。
ワーグナー(1813-1883)はこの作品に大きな感銘と多大なる影響を受けました。この作品にインスピレーションを受けた楽劇「トリスタンとイゾルデ」(1865年初演)は、ベルリオーズに献呈されたのです。
もう1つは、最大のロシア人作曲家の1人、ピョートル・チャイコフスキー(1840-1893)の幻想序曲「ロメオとジュリエット」(1870年初演)です。初期の傑作といわれ、「ロメオとジュリエット」の物語が見事にオーケストラで表現されています。
https://www.youtube.com/watch?v=Cxj8vSS2ELU
これはゲルギエフ指揮による、PROMS2007の模様です。

ロメオの家

ロメオの家のレリーフ
ミュージカルとして有名なものは、レナード・バーンスタイン(1918-1990)の「ウェストサイド物語」(1957年初演)です。舞台を中世のヴェローナから現代のニューヨークに置き換えた作品です。この作品は、ロバート・ワイズとジェローム・ロビンスという2人の監督によって1961年に映画化され、アカデミー賞を10部門獲得するという傑作となりました。
https://www.youtube.com/watch?v=Z7OHCrp13Ho
映画のサウンドトラック
なお、スティーブン・スピルバーグがリメイク版を作成、今年の12月に全米で上演される予定ですが、早く日本でも見たいものですね。
映画は他にも数多くの作品が作られましたが、1番有名なものはフランコ・ゼッフィレッリ監督(1923-2019)の1968年の「ロミオとジュリエット」でしょうか。フィレンツェ出身のゼッフィレッリは、オペラの演出家として大変有名で、世界中の主要歌劇場で彼の舞台が上演されました。特にプッチーニやヴェルディの大作が得意で、オーソドックスで大掛かりで絢爛豪華な舞台は、特にMETやウィーンやミラノ、ロンドンで愛されました。日本の新国立劇場のこけら落とし公演でも彼の「アイーダ」の新演出が上演され、大評判となりました。

ロミオとジュリエットポスター
フィレンツェの稿で触れるのを忘れていましたが、2017年フィレンツェの裁判所の建物に彼の博物館ができました。
https://www.fondazionefrancozeffirelli.com/pianifica-la-tua-visita/

フィレンツェのゼッフィレッリ博物館

トゥーランドット姫衣装
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