第27回トリノその2 「レッジョ劇場」
第27回ヨーロッパ音楽都市巡り
トリノ その2
「レッジョ劇場」
トリノのオペラハウスは、Teatro Regio、レッジョ劇場です。レージョという表記もよく見かけますが、Regioとは「王の」という意味なので、トリノ王立歌劇場とも呼ばれます。当時はサヴォイア王国の宮廷劇場として建てられました。テアトロ・コムナーレ同様、レッジョ劇場も国内に幾つかありますが、パルマのレッジョ劇場も有名です。トリノのレッジョ劇場は、280年の歴史を誇りますが、1936年に外壁を残して全焼してしまいました。現在の劇場は1973年にマリア・カラス(1923-1977)とジュゼッペ・ディ・ステーファノ(1921-2008)の競演で話題をさらったヴェルディの「シチリア島の夕べの祈り」で再開場された近代的なものです。

近代的な正面入口
1740年こけら落としされてから数十年はサヴォイア王国の中心地にあるオペラハウスとして北イタリア最高のレヴェルでしたが、ミラノにスカラ座(1778年)、ヴェネツィアにフェニーチェ劇場(1792年)が出来て、停滞期に入ってしまいました。しかし、1860年代には指揮者のカルロ・ペドロッティ、1900年前後には巨匠アルトゥーロ・トスカニーニ、と優秀な指揮者たちがレベルの高い上演を続けることで、危機を救ってきました。
特にプッチーニ(1858-1924)の傑作オペラ、1893年「マノン・レスコー」や1896年「ラ・ボエーム」の初演という輝ける栄光とともに、ワーグナー諸作品のイタリア初演でも知られています。1906年には、リヒャルト・シュトラウスの「サロメ」のイタリア初演が行なわれ、作曲者自身が指揮をしました。
外見は焼け残った外壁をそのまま使いクラシックですが、中は赤を基調としたたいへんモダンで豪華絢爛な造りです。巨大なシャンデリアが壁や天井も一体となった流線型のホールによく映えています。たっぷりとプラテア(平土間)が横に広がり、上のパルコ(ボックス席)は1層だけで、実にゆったりと作られており、どこのパルコからも舞台が良く見えます。

レッジョ劇場客席と舞台

客席
劇場内のホワイエやオープンスペースも広々と造られており、赤を基調とした豪華なソファーが数多く点在し、らせん状の階段等も美しく、宮殿の社交場のような贅沢さです。オープンスペースにショップもあり、過去の上演パンフレットのバックナンバーも数多く揃っているので、休憩時間が優雅に過ごせます。

ホワイエのバー
観客に若者が多いのも特徴で、スカラ座のように堅苦しい雰囲気はほとんどなく、若いアベックやハイティーンの子供を連れた親子などもよく見かけます。また、観客の拍手はおおむね歌手達に優しく、服装がとってもおしゃれなのも特徴です。
執筆:上月光
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