第19回 ヴェネツィア その1 「水の都、モーゼ計画、サン・マルコ広場、リアルト橋、アッカデミア美術館」
第19回 ヨーロッパ音楽都市巡り
ヴェネツィア その1
「水の都、モーゼ計画、サン・マルコ広場、リアルト橋、アッカデミア美術館」
イタリア北東部、アドリア海に面したヴェネツィアは、ヴェネト州の州都で、人工の潟(ラグーン)の上に作られた「水の都」です。ヴェネツィア本島は、真ん中を流れる大運河(カナル・グランデ)と小さな島々から出来ています。街中は鉄道はもちろん、車もバイクも自転車も走ることが出来ません。徒歩以外の交通手段は、ヴァポレットという水上バス、タクシー代わりのモーターボート、そして人が櫓を漕ぐかの有名なゴンドラ(イタリア語ではゴンドラ―ノ)だけです。

大運河

ゴンドラ
毎年のように高潮によって街中に水が溢れますが、2019年は特に酷いもので50年で最大の水位となりました。最近水害が酷いのは、地球温暖化が原因と思われていて、近未来には街中が水没すると言われています。特に海抜がもっとも低いのが、最大の観光地サン・マルコ広場なので、最悪です。そこで政府が主導となって3か所の可動式のゲートを作るモーゼ計画が進行中です。

水が溢れたサン・マルコ広場
町のシンボルは、ヴェネツィアの守護聖人の名前が付けられたサン・マルコ広場と鐘楼、広場に面したサン・マルコ寺院、ドゥカーレ宮殿です。まず世界一美しい広場と言われるサン・マルコ広場には、1720年創業で世界最古のカフェと言われるカフェ・フローリアンがあります。カフェ・ラテ発祥のカフェとしても知られています。ワーグナー、ゲーテ、スタンダール、カサノヴァら芸術家が通いました。今年でちょうど創業300年ですね。グラン・カフェ・ラヴェーナもワーグナーが愛した店として有名です。

サン・マルコ寺院
16世紀に建てられた約100mの鐘楼は、他に高い建物がまったくないため、ひと際目立ちますが、エレヴェーターで上に登ることが出来ます。サン・マルコ寺院は、11世紀にヴィザンチン様式で建てられた美しい大聖堂で、ヴェネツィア楽派の中心として、音楽的にも重要なので次項で後述します。提督の館ドゥカーレ宮殿は、現在は建物自体が美術館になっていますが、黄金の階段、ティントレットの世界最大の油彩画「天国」などが特に有名です。また、ドゥカーレ宮殿と牢獄を繋ぐ小さな橋が、有名なため息の橋です。囚人が入牢する際に、美しいヴェネツィアの風景を最後に見て、ため息をついた橋なのです。

ドゥカーレ宮殿黄金の階段
カナル・グランデにかかる4つの橋のうちもっとも有名なのが、リアルト橋です。16世紀に架けられた石造りの橋で、当時一般募集でミケランジェロらを押しのけて、アントニオ・ダ・ポンテという人の橋が選ばれました。ポンテとはイタリア語で橋という意味なので、名前で選ばれたという嘘のような話も伝わっています。リアルト橋はオッフェンバックの傑作「ホフマン物語」の第4幕の舞台としても有名で、かの有名な「ホフマンの舟歌」の旋律が今にも聞こえてきそうなムード満点の場所です。

リアルト橋
美術館でもっとも有名なのは、アッカデミア美術館です。ティントレット、ティツィアーノ、ヴェロネーゼらヴェネツィア派の巨匠を始め、見どころたっぷりです。
あとは本島以外の島も幾つかご紹介しましょう。ムラーノ島は、ヴェネツィアン・グラスの工房として知られています。ブラーノ島は、カラフルな街並みとレース編みで有名です。そして細長いリド島は、ヴェネツィア国際映画祭の会場や「ヴェニスに死す」の舞台で有名です。

ブラーノ島
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