第17回フィレンツェ その2 「オペラの誕生、オペラの語源、ワイン」

第17回フィレンツェ その2 「オペラの誕生、オペラの語源、ワイン」

2020年08月24日(月)10:00 AM

第17回 ヨーロッパ音楽都市巡り
フィレンツェ その2

「オペラの誕生、オペラの語源、ワイン」

 

16世紀後半にフィレンツェではカメラータという音楽家や詩人、知識人たちによるサークルを作り、古代ギリシャの演劇から派生した古代ギリシャ音楽への復興を目指しましたが、それが現代のオペラの始まりです。
ルネッサンス末期の1597年、カメラータの仲間で詩人のオッターヴィオ・リヌッチーニ(1562-1621)の台本にヤコポ・ぺーリ(1561-1633)が曲を書き、世界最古のオペラ「ダフネ」が上演されました。

 

ダンテの家

ダビデ像の本物があるアッカデミア美術館

 

しかし、楽譜が現存していないため、「ダフネ」と同じリヌッチーニとペーリのコンビにジュリオ・カッチーニ(1545-1618)が一部分を作曲する形で、1600年に「エウリディーチェ」がピッティ宮殿で上演され、現存する世界最古のオペラとなっています。しかし「エウリディーチェ」は、現代のオペラの形式とはかなり違う音楽劇で、上演される機会もありません。現代のオペラの形式に近く、上演される機会も多い「オルフェオ」が初演された1607年が事実上の最初のオペラという見方もあります。「オルフェオ」を書いたのはモンテヴェルディ(1567-1643)で、モンテヴェルディについては、ヴェネツィアかクレモナの回で触れることに致します。 


日本では、歌舞伎の元祖である出雲阿国がかぶき踊りを踊ったのも奇しくも1600年なのです。オペラと歌舞伎、不思議な偶然です。その後、フィレンツェ出身の音楽家はほとんどいませんが、ルイジ・ケルビーニ(1760-1842)がいます。現代ではあまり有名ではありませんが、当時はベートーヴェン(1770-1827)の先生でもありました。今でも代表作の「メデア」などのオペラが時々上演される他、2004年には、巨匠ムーティが、ケルビーニ・ユース管弦楽団を創設し、若手を育成してます。

 

サン・ロレンツォ教会

 

ところで、オペラ(イタリア語でOpera)の語源は、ラテン語のオーパス(Opus)の複数形で、作曲家の作品番号を表す時にOp.という記号が使われるが、これがオーパスのことです。ちなみに、最高級のカリフォルニアの赤ワインのオーパス・ワンは、作品番号1という意味で付けられました。また、フィレンツェのトスカーナ地方はワインの産地としても有名です。ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、キャンティなどが有名ですが、スーペル・トスカーナ(英語でスーパー・タスカン)のサッシカイアなども非常に美味しい赤ワインです。

 

ランツィのロッジア

 

執筆:上月光



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