第7回 ウィーン No.7 「芸術の都・ウィーン」

第7回 ウィーン No.7 「芸術の都・ウィーン」

2020年06月08日(月)10:00 AM

ヨーロッパ音楽都市巡り

第7回 ウィーン No.7 「芸術の都・ウィーン」

 

その他音楽に関わるものを教会、ウィーンが舞台のオペラ、ウィーンが舞台の映画等、幾つかご案内しましょう。

まず教会から。ウィーンのシンボル、シュテファン大聖堂は、1区という世界遺産に登録されているウィーンの歴史地区のちょうど真ん中に位置します。
ゴシック建築の壮麗な大聖堂と137mの南塔はウィーンのどこにいても目印になるほど高くそびえ、ウィーンっ子が方向に迷うことはありません。1782年にモーツァルトとコンスタンツェが結婚式を挙げ、1791年にモーツァルトの葬式をしたのもこの教会です。

 

シュテファン大聖堂

 

毎年モーツァルトの命日の12月5日にはモーツァルトの追悼ミサで、最後の作品レクイエムが演奏されます。

 

モーツァルト追悼ミサのポスター

 

その他にも大きな円形ドームを持つバロック建築の傑作カールス教会。
ステンドグラスが美しいネオ・ゴシック建築のヴォティーフ教会、豪華絢爛な内装や天井画を持つバロック建築のペーター教会等々。
いずれも素晴らしいパイプオルガンを持っていて、演奏会も頻繁に行われます。

 

カールス教会

 

ヴォテーフ教会

 

ヴォティーフ教会内部

 

ペーター教会

 

ペーター教会内部

 

次にウィーンが舞台のオペラですが、世界一の音楽の都ながらほとんどありません。
その理由は、モーツァルトの頃までは、ウィーンでもほとんどのオペラがイタリア語で書かれ、台本はギリシャ神話等が多かったから。そして、ウィーンで活躍した偉大な音楽家、ベートーヴェン、シューベルト、ブラームス、ブルックナー、マーラーなどがほとんどオペラを書かなかったことも大きな理由かも知れません。数少ない例外はリヒャルト・シュトラウスで、最高傑作の「ばらの騎士」、「アラベッラ」の舞台は、ウィーンです。

最後にウィーンが舞台の映画にも触れておきましょう。
戦前のトーキー映画の傑作「会議は踊る」ナポレオン戦争後のウィーン会議を舞台にしたオペレッタ映画です。第2次世界大戦直後のウィーンが舞台の「第3の男」もキャロル・リード監督の傑作ミステリー映画です。プラター公園の大観覧車、アントン・カラスの有名な哀愁を帯びたツィターのテーマ音楽、オーソン・ウェルズの怪演などが印象的でした。

 

プラター公園の大観覧車

 

 モーツァルトとサリエリを描いた「アマデウス」の舞台は全編ウィーンですが、実際のロケ地はプラハでした。最近の映画では、トム・クルーズのミッションインポッシブルの5作目「ローグネイション」は、ウィーン国立歌劇場が舞台で、プッチーニの「トゥーランドット」のカラフの有名なアリア「誰も寝てはならぬ」の最中に舞台裏で銃撃戦が繰り広げられます。オペラのフルスコア(指揮者の譜面)まで登場して、音楽ファンも大喜びでした。
そういえば007の15作「リビング・デイライツ」もウィーンが舞台でしたが、「第3の男」を含めて、音楽の都は、スパイ映画が似合うのでしょうか?

 

執筆:上月光



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