第3回 ウィーン No.3 フォルクスオパー
ヨーロッパ音楽都市巡り
第3回 ウィーン No.3 フォルクスオパー
<ウィーン・フォルクスオパー>
音楽の都ウィーンには国立歌劇場の他に2つのオペラハウスがあります。
まず1つめはウィーン・フォルクスオパーです。
フォルクスオパー(外観)
ウィーン国立歌劇場が開場してから29年後の1898年、フランツ・ヨーゼフ1世の皇帝即位50周年を記念して建設されました。当初は皇帝記念都市劇場として演劇専門の劇場でしたが、その後オペラの上演も始まり、1908年に今のフォルクスオパー(Volksoper)の名前になりました。
フォルクスオパー(舞台・客席)
Volkとは、英語のFolkですので、大衆のとか国民のという意味です。ちなみにドイツ語のワーゲン(Wagen)は、車という意味で、ドイツの有名な自動車メーカーのフォルクスワーゲン(Folkswagen)は、ヒトラーが国民車という意味で付けた名前なのです。
フォルクスオパー(客席)
フォルクスオパー(天井桟敷)
1929年からはオペレッタ中心の劇場となり、第2次世界大戦中には映画館にもなりましたが、終戦後は壊滅的な被害を受けた国立歌劇場の代わりも務めました。1955年の国立歌劇場再開場からは、再び本来のオペレッタ中心の劇場として広く市民から愛されています。主なレパートリーは、ヨハン・シュトラウス2世の「こうもり」、レハールの「メリー・ウィドウ」などのオペレッタ。チャイコフスキーの3部作などのバレエ、「サウンド・オブ・ミュージック」などのミュージカル、さらには「トゥーランドット」「カルメン」などの普通のオペラなども上演されます。国民のためのオペラハウスとして、基本的にはどの作品もドイツ語で上演されますが、英語の字幕もあります。
「こうもり」舞台
本編から少し外れますが、良くオペラとオペレッタの違いを聞かれますので、少し触れておきます。オペレッタの文字通りの意味は、イタリア語で小さなオペラということですが、イタリアでは発展せず、パリでオペレッタの父と呼ばれるオッフェンバックが「天国と地獄」等の作品を残した以外は、今日オペレッタと呼ばれるものは、ほとんどウィーンのオペレッタです。
その特徴は、ドイツ語であること、台詞の部分が多いこと、ハッピーエンドの喜劇であることなどが挙げられます。「こうもり」「メリー・ウィドウ」を前述しましたが、他にもスッペの「ボッカチオ」「軽騎兵」などのスッペ、ミレッカーの「乞食学生」、カールマンの「チャルダッシュの女王」、ベルナツキーの「白馬亭にて」などが頻繁に上演されます。
« 第2回 ウィーン No.2 ウィーンのシンボル国立歌劇場 | モーツァルト追悼記念合唱団-5月・6月の練習会について »